学生支援事業
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今年度の学生支援事業では、「リアルな里山ライフを味わおう」をテーマに、藍染体験や職人工房の見学など、里山の暮らしに根ざした多彩なプログラムを通じて、自然の豊かさや心のWell-beingを体感しました。また、びわ湖版SDGs「MLGs(Mother Lake Goals)」について、新たな視点から学び、考える機会になりました。
本プログラムのコーディネートを担当いただいた、一般社団法人インパクトラボ代表理事 上田隼也氏より、3日間にわたるワークショップの様子をレポートいただきましたので、以下にご紹介いたします。
こんにちは。インパクトラボの上田です。
今回は、2025年度環びわ湖大学・地域コンソーシアムが主催する学生支援事業「MLGsワークショップ」の事前学習の様子について皆様にお届けします。
環びわ湖大学・地域コンソーシアムとは、滋賀県にある14の大学・短期大学と自治体が所属する一般社団法人です。その中でも、学生支援事業は14の大学・短期大学の学生の交流を目指して実施しております。
弊社では、2020年から6年間学生支援事業を担当しており、今年度は、滋賀県の長浜市をフィールドにMLGsをテーマに、里山を体験するプログラムを実施しました。参加者は、6大学から12名の学生の皆さんが参加してくださいました。
MLGsは、Mother Lake Goalsと呼ばれており、琵琶湖版SDGsです。2021年に滋賀県が策定をしたローカルSDGsになります。13個の琵琶湖に関する課題が設定されており、滋賀県に住む皆さんには馴染みのあるテーマが取り上げられています。
マザーレイクゴールズとは(Mother Lake Goals, MLGs)
9月9日(火)の長浜市のフィールドワークを実施するにあたり前日の9月8日(月)に事前学習をオンラインで実施しました。今回は、事前学習の様子をお届けします。
事前学習では、まず改めてプログラムについての説明を実施しました。フィールドワークを実施するにあたり、事前学習や事後学習を実施することで学びを深めることが狙いです。その後、参加者の自己紹介を実施しました。参加者の【氏名・所属・関心のあること】を参加者全員に発表してもらいました。
その後に、MLGs案内人である上田からミニ講義を行いました。簡単にMLGsに関する講義の内容を下記に共有します。
・MLGsは「身近なびわ湖から考える」地域に根ざした目標である
MLGs(Mother Lake Goals)は琵琶湖を軸とした地域版SDGsである。SDGsが世界規模の目標であるため、具体的な行動に結びつけにくい側面がある。これに対し、MLGsは「変えよう、あなたと私から」を理念に掲げ、「身近なびわ湖から考える」ことを出発点としている。これは、地域の活動を通じて、世界的な課題を自分ごととして捉え直すための仕組みである。
MLGsには、2030年に向けた13のゴールがある。「清らかさを感じる水に」「恵み豊かな水源の森を守ろう」など、琵琶湖の自然と人々の暮らしに直結する課題が明確に示されている。
・琵琶湖は「地球環境を見通す窓」であり「生活を映す鏡」である
琵琶湖は近畿1,450万人の水源として重要な役割を果たしている。また、1977年の赤潮を契機とした石けん運動や、近年の湖底ごみ調査など、住民が主体となって課題解決に取り組んできた歴史を紹介した。
こうした事例を通して、琵琶湖は「地球環境を見通す窓」であり、同時に人々の「生活を映す鏡」として、暮らしと密接に結びついていることがわかる。
・変化は「小さな実践」から始まる
講演の締めくくりでは、「変化の始まりは『あなたと私』から」であると伝えた。小さな実践が積み重なることで、やがて社会全体の大きな変化へと広がっていく。MLGsは、琵琶湖という身近な場所から、誰一人取り残さない持続可能な社会を目指す、新しい学びと行動のモデルを提示している。
また、私と同じくMLGs案内人である桐畑孝佑さん(長浜市環境保全課/滋賀県庁から出向)からフィールドワーク先である長浜市についての紹介をいただきました。
・観光資源と人口減少という課題を抱える長浜市
長浜市は滋賀県北部に位置し、琵琶湖の豊かな自然と歴史文化を併せ持つ城下町である。羽柴秀吉が初めて城持ち大名となった地として知られ、江戸時代には宿場町としても栄えた。現在も黒壁スクエアを中心としたガラス工芸や工房、郷土料理の店が並び、観光客を惹きつけている。また、浅井長政の居城であった小谷城跡や石田三成生誕の地など、戦国時代を彩った武将の足跡が数多く残され、歴史ロマンを感じさせる地域である。
一方で、2050年には人口が11.6万人から8.7万人へと減少し、3人に1人が高齢者となる超高齢社会が予測されている。特に若年層の転出超過が深刻で、労働力や税収の不足、伝統産業や地域文化の衰退が懸念されている。また、エネルギー消費の大半を市外からの購入に依存しており、年間308億円が域外に流出する「漏れバケツ」状態にあることも課題である。
・ゼロカーボンシティ宣言と地域課題の解決
長浜市は「ゼロカーボンシティ宣言」を掲げ、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指している。脱炭素を農業・産業・福祉・教育などと掛け合わせ、地域課題の解決と地方創生の両立を図る取り組みが進められている。長浜市は、歴史と自然を活かしつつ人口減少や環境問題に挑む、持続可能な地域づくりを目指す都市である。
明日は、実際に長浜市に訪問してフィールドワークを行います。五感を通して里山の魅力を感じてほしいと思っています。
≪関連リンク≫
一般社団法人 インパクトラボ
https://impactlab.jp/
【事前学習】MLGsワークショップ2025
https://note.com/impactlab/n/n197cc7491dd2