<コラム>回りつづけるコマのひみつをさぐろう
滋賀大学 教職大学院特任教授 山岡 武邦
みなさんは、ずっと回りつづけるコマを見たことがありますか。今回ご紹介するのは、電池のエネルギーを利用して回りつづける不思議なコマを、自分の手で作ってみる活動です。ただの工作ではなく、コマが回る様子を観察しながら「このコマはどうやって動いているの。」「なぜ止まらずに回りつづけているの。」といった不思議を考える小さな科学の旅です。
本物の道具や材料を使って、目の前で起こる現象を確かめながら進む体験は、みなさんの中にある知りたいという気持ちをぐっと引き出してくます。今年度は、回りつづけるコマづくりを、青少年のための科学の祭典・滋賀大会や、大津市内の地域イベントなどで行い、小学生から高校生まで多くの児童・生徒たちが参加してくれました(図1)。

では、具体的にどんな実験なのでしょうか。まず、みなさんはモーターのしくみを知っていますか。私たちの身の回りにある多くのモーターは、電気と磁石の性質を使っています。電気は電磁石の働きをしています。モーターは、磁石が引きつけたり、反発したりする性質を使っています。今回の実験は、磁石のコマを動かします。磁石のコマは、半分がN極、半分がS極になっている2極磁石を使います。そして、コマと電磁石がお互いに引きつけたり、反発したりしながら、コマを回転させます。電磁石にはコマの位置でスイッチが開いたり、閉じたりするリードスイッチが入っています。このスイッチは、コマの回り方によって、上手にスイッチを開いたり、閉じたりします(図2)。コマをスプーンの上で回して、電磁石の上にそっと持っていきましょう。上手に回すと、コマは電池がなくなるまで回つづけることができます(図3)。


実際の工作では、発泡スチロールの台に部品を取りつけたり、ボルトにエナメル線を巻いて電磁石を作ったりしますので、ものづくりの達成感も得られます。今回は、コマが回りつづける仕組みをより分かりやすく説明するために、モーターを実際に分解した補助教材を用意しました(図4、図5)。


モーターの中を開けてみると、コイルや磁石がどのように働いているのかがよく分かります。分解して見比べてみると、
(1)モーターは、磁石が固定され、コイル(電磁石)が回る
(2)回りつづけるコマは、コイルが固定され、磁石が回る
という違いがあることが分かり、「コマはなぜ回りつづけるのか」という疑問を理解する糸口がつかむことができます。実際に小学生(主に高学年)の子どもたちからは、モーターのしくみをきっかけに、もっといろいろ調べてみたい、といったような声も聞こえてきました。この調べてみたいという気持ちは、科学の入り口で、主体的な学びが動き出す瞬間でもあります。コマが回りつづけるように、子どもたちの知りたいという気持ちも止まらず続いていきますように。
